就業支援ハンドブック
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 ⑤ 地域障害者職業センターにおける職業評価 Aさんは、当施設に休まず通い、どのプログラムにも真面目かつ積極的に取り組んでいたが、作業遂行上の課題(仕事が雑になる、周囲に注意が向けられずよく物にぶつかったり落としたりする、ボディ・イメージがよくないため体の動きを状況に合わせられない)が見られ、その対応方法等の検討に向けては地域障害者職業センターにおける職業評価も通じて、Aさんに合った働き方を考えることになった。 職業評価では、就職への希望や医療情報、日常の活動状況等については本人および当施設からの聞き取りにより整理するほか、作業検査や職業適性検査等を通じ、就職活動や職業生活を進める上で留意すべきポイント等の検討が進められた。 その結果、対人対応面での特性(緊張しやすい、人の顔を覚えることが苦手、人に教えたり説明することが苦手、自己評価が低い)に配慮した職場環境の選定が望まれること、職務内容の検討においては、数処理等の一定の知的判断への対応は可能であるが、図形の弁別や照合作業等の不得手さに配慮した選定が望まれることが確認された。そこで、本人の希望や興味も踏まえ、パソコンによる文字情報や数字データの入力作業を中心に就職活動を進めていこうということとなった。た。母親もAさんが今までの仕事が続かなかったことを振り返りながら理解、了承し、障害者就業・生活支援センターへはAさんと母親、当施設スタッフが一緒に行き登録を行った。 またそれまで両親からの反対もあり、Aさんは精神障害者保健福祉手帳を取得していなかったが、Aさんに配慮された職場で働けるようにする手段のひとつと、母親も納得し手帳を申請することになった。同時にAさんの了解を得て、主治医へ連絡しAさんの現状や今後の就業支援の方針について説明を行った。主治医からは、Aさんが自ら明るく挨拶するようになったこと、体調も安定していること、配慮さえあれば働けることについて話を聞くことができるとともに、職業生活の安定に向けての体調管理面での連携体制を確認した。第2節 就労移行支援事業所における支援の実際 113

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