就業支援ハンドブック
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114 第2章 就業支援の実際(事例) ⑥ 就職活動 Aさんと今後の仕事探しについて話し合い、まずどのような求人があるのかハローワークに行き情報収集をすること、地元の障害者就業・生活支援センターにも定期的に相談することを確認した。Aさんはハローワークに行き求人情報を探す中、各支援者もAさんに合った求人を探していたが、なかなか見つからない日々が続いた。その間Aさんは求人内容がよさそうだと思うと、自ら窓口で相談しひとりで就職面接を受けに行ったこともあった。しかし地図が読めずに目的地にたどり着けない、面接を受けたがうまくいかなかった、との状況から3社より不採用通知を送られている。当然Aさんはそのたびに「やっぱりだめですね。」と落ち込んだが、当施設スタッフからこれは失敗ではなく経験を活かすための学びであること、うまくいかなかった点を挙げ、そこから次回はどう工夫して臨んだらいいのかを一緒に考えた。 ⑦ ケース会議の開催 精神障害があっても、就職面接にすぐ通り採用になる人もいれば、なかなか面接に通らない人もいる。Aさんの場合、短時間の就職面接だけではAさんについて理解してもらうことは難しいと判断した。そこで支援者が集まりケース会議を行い、Aさんの就職の実現へ向けた取組みを検討することとなった。会議には、Aさん、母親、そしてハローワーク、障害者就業・生活支援センター、地域障害者職業センター、当施設の各担当者が参加し、それぞれから情報提供を行いながら、今後の支援の方向性を探った。Aさんは「こんなにたくさんの人が支援してくれているんですね」と言い、母親からはAさんの病気が悪かったころの苦悩、そして今は病気になる前に戻ったように見え、障害についてはよくわからない点もあるが、確かに働きづらさがあり理解してもらった方がいいのだろう、という話が改めてあった。今後は、Aさんが安心して働けるような職場環境が提供されるよう、障害をオープンにして就職活動を行っていくこと、そしてAさんについて企業に知ってもらうためには、まず職場実習を行い、その中で企業側にAさんの長所を見出してもらうことができれば就職につながるのではないか、ということが話し合われ、職場実習からの採用の検討が可能な企業

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