就業支援ハンドブック
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3)職場実習 ある日Aさんがハローワークで求人検索をしていたところ、パソコン入力業務が主である事務の仕事で募集があり、ハローワーク窓口で担当の職員に相談することとなった。一般求人であったが、ハローワーク担当職員が人事担当者と交渉し、障害を開示したうえでの面接を行うことになった。当施設ではAさんと履歴書を一緒に作成し、障害者就業・生活支援センターでは面接の練習を行い、当日に臨んだ。 就職面接では練習通り、ハキハキと質問に答えられたこと、そしてパソコン入力が得意であることが評価され、数日の職場実習を経て適性があれば雇用するという流れになった。実習は障害者就業・生活支援センターが中心に支援することになった。実習前に当施設と本人とで、職場で配慮してほしい点を確認しそれを書面にして人事担当者に渡した。本人が配慮を求めた点は「仕事の指示は、ひとつずつお願いします(一度に複数の指示があるとわからなくなってしまいます)」「ゆっくり説明してください」「今日行う仕事量やスピードがどの程度求められているのか、目安を教えてくれれば段取りがつけやすいです」「間違えず確実に仕事をしたいので、最初からスピードを求めず、慣れるまで少し待ってください」であった。それを受け、人事担当者が、仕事面で対人コミュニケーションが伴わないパソコン入力作業を中心業務に用意、仕事のマニュアルを作成しわかりやすく提示、複数の仕事を指示しないこと、仕事の指示は穏やかな口調で伝えること等を配慮し準備してくれたため、Aさんは安心して職場実習を受けることができた。 職場実習では、Aさんのパソコンスキルが高く、真面目な仕事ぶりが評価され、特に問題もなかった。Aさんからは「職場の方々が親切に丁寧に教えてくれたので、仕事がしやすかったです。楽しかったし少し自信もつきました。」との感想があった。そしてその後、雇用契約を結ぶことになった。の開拓を行うことになった。第2節 就労移行支援事業所における支援の実際 115

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