就業支援ハンドブック
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第2節 就労移行支援事業所における支援の実際 119生活技能等の向上を図るための支援を行っている。特に発達障害者向けのカリキュラムとして、ロールプレイを通して職場での対人技能を学ぶ「職場対人技能トレーニング(JST)」や、問題の発生状況や原因を把握し、現実的な問題解決策を選択できるようにするための「問題解決技能トレーニング」、自分の特徴(得手不得手等)を整理して、セールスポイントや配慮してほしいことなどを会社や支援機関、家族に説明するための自己紹介シートである「ナビゲーションブックの作成」などを実施している。また、精神障害の中でもうつ病等の気分障害の求職者が増加している状況を踏まえ、より実践的な模擬的就労場面を設定し、集団によるチーム作業等を通して作業遂行上の課題を把握し、対処スキルの習得を図る「ジョブリハーサル」や、自らの成功体験や職業上の課題などを振り返り、今後の働き方に関する理解を深めるための「キャリア講習」、ストレス対処や体調の自己管理のための「職業生活講習」などを組み合わせたカリキュラムを実施している。<ジョブコーチによる支援> 障害者の職場適応を支援するジョブコーチ(職場適応援助者)が職場を訪問し、障害特性や職務内容、職場環境など個々の状況に応じた支援を実施している。ジョブコーチはその名称や、これまで支援対象のボリュームゾーンとなっていた知的障害者に対する支援の実践内容などから、職場での作業習得のために作業場面に介入を行うイメージが強いが、地域障害者職業センターにおけるジョブコーチ支援の対象が精神障害者や発達障害者にシフトしていく中で、支援の内容も多様化してきている。例えば、疲労やストレスのセルフケアに関する助言やツールの導入のための支援、本人や企業との相談を中心とした支援を行い、本人と企業のコミュニケーションの円滑化を図るといった、相談支援を中心とした支援が増加傾向にある。また、企業自らの、障害のある社員に対する雇用管理スキルの向上を目指して、企業担当者とジョブコーチが協同で職場適応支援を行う機会も増えてきている。<事業主に対する支援> 障害者の就業、職場定着を進めるためには、もう一方の当事者である事業主に対する支援も重要となる。このため地域障害者職業セン

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