就業支援ハンドブック
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1)特別支援学校の進路決定支援 高校生の採用選考のスキームに合わせていくことで、自分で目標を設定して、勝ち取るための努力を捉えやすくなる。そして、現場実習をはじめとする進路指導の柱のあり方も、そこに合わせていく必要がある。 「働くのはあなたたちです。保護者や先生たちではありません。現場実習は複数の会社でできますが、応募できるのは(東京都の場合10月まで)一社ずつです。どの一社に入りたいか、あなたたちが決めてください。でも、入ることができるかどうか、決めるのは・・・・・会社です」 法制度が変化し、様々なフレームが変わっていく中、本人が「この会社に入りたい」と、強く思って勝ち取る仕組みを工夫できる学校でありたいと考える。 本校では、このタイミングで「就労支援機関連絡会」として、生徒の居住地ごとに設置されている「就労支援センター」と面会する機会を設定している。 相談が苦手で、新しい人に会うのも得意ではない生徒は、年度末に登録する前に面会しておくことで、少しでも距離を縮め、本人達から「話を聞いてほしい」という関係に近づけるような機会にしている。 Aさんは、3年生の夏休みに通勤寮の見学に参加している。「働く生活」を考える上で、福祉サービスを利用しながらの自立を知るためだった。 「通勤寮でお金と力を貯めて、将来は一人暮らしをしたい」 これが彼の「働く生活」作りの目標だった。 「でも、すぐに一人暮らしは難しい・・・お金も貯めたいし、料理や洗濯も覚えたい」 そのために、通勤寮だけでなく、内定が出た後はグループホームを3件見学し、卒業時点で入居することになった。 そして、グループホームのある住所地の就労支援センターに登録した。 第3節 特別支援学校における支援の実際 131第3項 まとめ

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