就業支援ハンドブック
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  キャリア発達は、誕生から学齢期を経ながら、その後の就職や職業生活の維持、そして退職後の人生に至るまで、その生涯にわたる個人の働き方や生き方に関わるものである。キャリアという用語には様々な意味があるが、職業経歴や仕事そのものを意味するワークキャリアと、職業生活を含む様々な生活場面で個人が果たす役割を踏まえた働き方や生き方を指すライフキャリアに分けて捉えることができる。 特に、ライフキャリアを考える場合には、図に示すように、障害の有無に関わらず、人は生涯にわたって子供・学生・余暇人・市民・職業人・家庭人などの多様な役割を遂行するのであり、それぞれの発達段階でこれらの役割に費やされる時間やエネルギーの大きさは異なる。また、この図から、個人のライフ・スタイルは、生活上の様々な役割の同時的な組合せから決まることが示唆される。さらに、それぞれの役割が自分にとってどれだけ重要であるかは、①その役割に対してどれだけ思い入れたかという態度や情意的な側面、②実際にどれだけエネルギーを投入したかという行動的な側面、③その役割についての正確な情報である認知的な側面、の3つの側面から決まるとされる。 こうした人生に用意されている多様な役割の中でも、特に、職業人としての「仕事役割」は全体的に大きな重みを持つだろう。就業支援は、こうした様々な役割を視野に入れつつ、職業人としての役割に焦点を当てた活動である。(Nevill & Super:The Life-Career Rainbow.1986)キャリア: 生涯にわたる役割や環境および出来事との相互作用 第1節 就業支援とは 143ライフ・キャリアの虹◇キャリア発達◇■コラム⑦ 

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