就業支援ハンドブック
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1)求められる能力要件 就業支援の担当者といっても、その役割の内容や職務上の権限から様々な水準があるが、共通して必要とされる能力として、①就業支援の基本的知識・理念の理解、②就業支援に関する制度の理解、③関係機関の役割・連携の理解、④企業の障害者雇用の実際の理解、⑤就業支援の実際の理解とともに、⑥支援者としての自己理解と⑦相談のスキル、⑧コミュニケーションスキルがあげられる。例えば表1(146ページ)は、就労移行支援事業所の就労支援員、障害者就業・生活支援センターの就業支援担当者、それに、訪問型・企業在籍型職場適応援助者のそれぞれの役割・職務・求められる能力をまとめたものであり、下段には先ほどの項目が「共通基盤」として整理されている2)。上司や同僚などの様々な分野の人が加わる地域支援システムが必要である。 特に、働く障害者を支えていくには、雇用・福祉・教育・医療等の各分野の連携が不可欠である。それぞれの支援機関が役割分担しつつ、個々の障害者のニーズに対応した長期的な支援を総合的に行うネットワークを、障害保健福祉圏域などの身近な地域ごとに構築することが必要である。 地域ネットワークの構築は、障害者にとっては、ライフステージを通じて適切な支援が受けられ、どの機関を利用しても必要な支援に結び付けてもらえる利点がある。また、支援者にとっては、各分野の強みを活かした効果的な役割分担が可能になる。事実、就業支援が効果的に行われている地域の多くは、熱心に就業支援に取り組む機関が中心となり、様々な個別ケースごとに地域の支援機関が緊密に連携して、それぞれの役割に応じて支援を分担するといったネットワークが構築されている。  第1節 就業支援とは 145第3項 支援者に求められる役割と資質

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