就業支援ハンドブック
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※詳細の解説は、第4章第2節第1項「障害者の雇用の促進等に関する制度の概要」(P.247)、コラム⑨「障害者雇用と就業支援の歴史」(P.269)を参照のこと。1)民間企業における障害者雇用の実状 当節の冒頭にも述べたとおり、民間企業全体の雇用障害者数は19年連続で伸展してきている。民間企業全体としての流れは、障害者雇用への理解が確実に浸透しつつあることを示しているが、その内訳については必ずしも全体的な底上げが進んでいるとはいえない状況もある。 厚生労働省が公表している「令和4年障害者雇用状況の集計結果」によると、法定雇用率未達成企業のうち雇用障害者数0人の企業の割合は、常用雇用労働者数43.5人~300人未満の中小企業において67.4%、同43.5人~100人のより小規模企業に限ると91.9%となっている。同43.5人~100人の企業は納付金対象ではないということが要因の一つと考えられるが、より一層の障害者雇用への理解促進が必要となるところである。 一方で、雇用率の問題だけによらず、ダイバーシティ、地域貢献などについて企業の責務として積極的に取り組み、実雇用率5%以上という企業 図2のように段階的に法定雇用率が引き上げられる中で、特例子会社の認定要件緩和や関係会社特例の導入、障害者就業・生活支援センターの設置や職場適応援助者(ジョブコーチ)支援制度の構築、各種助成金制度の拡充など、行政による障害者雇用支援施策もあわせて展開されてきた。 それらの施策効果とそれに伴う啓発効果、さらに企業努力が相まって、民間企業の実雇用率は着実な増加傾向にある。(※図1で2011年に一旦実雇用率が前年を下回っているのは、2010年7月の法改正で、週の所定労働時間が20時間以上30時間未満の短時間労働者も実雇用率の算定対象に加わる変更や除外率の引き下げがあったため。) 今後も法定雇用率の引き上げが想定される中、企業の障害者雇用は、採用競争、職域の拡充、定着・育成体制の整備にと、一段と厳しさを増している。第2節 企業の視点の理解 159第5項 民間企業の障害者雇用の現状

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