就業支援ハンドブック
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160 第3章 就業支援に必要な考え方2)特例子会社の増加 特例子会社はここ10数年、毎年のように増加し、2022年6月1日時点では579社となっている。ただし、特例子会社制度を導入すればどの企業もうまくいくというわけではなく、障害者雇用の促進にあたり、自社が抱える問題点と同制度を導入することによるメリット・デメリットを総合的に勘案して判断することが肝要である。特例子会社は障害者が主体の企業となるため、各社では障害者にとって働きやすい環境を整備するべく努力している。また、近年、大都市圏では特例子会社の経営者層を中心に、取組好事例や各種情報の共有化に向けた横の連携が活発になっており、こうした動きが障害者雇用全体に波及していくことが期待される。 その半面、ノーマライゼーションの考え方から特例子会社制度に否定的な声もあるが、日本の障害者雇用の現状を踏まえると特例子会社制度が大きな役割を果たしているところである。3)障害者の新しい働き方 ① 「農福連携」の動き 政府の働き方改革実現会議の取組みの一つとして、農業と福祉の連携(以下「農福連携」という。)強化が打ち出されている。農業に取り組む障害者就業施設への支援や、耕作放棄地の積極活用など、農福連携による障害も存在しており、企業の取組みが二極化しているのも事実である。 また、法定雇用率未達成かつ常用雇用労働者数500人以上の大規模企業の中で、不足数が0.5人または1人の企業は18.9%となっている。この企業規模の法定雇用者数は11.5人以上であることを踏まえると、あと1人の雇用がいかに重いかがうかがえる。裏返してみれば、雇用障害者数の上昇を牽引してきた超大手企業では、法定雇用率が0.1%~0.2%引き上げられるだけで、10人~20人単位での雇用増が必要となることから、更なる雇い入れに余裕がなくなりつつあるという声も聞かれるようになってきた。 加えて、このところ従前と比べ法定雇用率の改定が早い期間で行われているため、多人数のさらなる雇用の上乗せに際しては、職務開発や職場環境の整備、雇用条件の検討などの時間的余裕が必要である。

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