就業支援ハンドブック
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164 第3章 就業支援に必要な考え方業群においては、実雇用率の平均が法定雇用率を上回っており、これは2014年から続いている。また、同じ大手企業群における法定雇用率達成企業の割合についても、2018年こそ法定雇用率の引き上げがあり50%を僅かに下回ったものの、同じく2014年以降の傾向として50%以上を達成することが当たり前になりつつある。一方、行政施策面で、障害者に対する差別の禁止・合理的配慮の提供義務、働き方改革の法制化といった動きがある中で、障害者雇用における企業への要求が「量」だけでなく、「質」にも向けられるようになってきた。 このような売り手市場下においては、施設・設備等のハード面はもちろんのこと、雇用条件、支援体制の充実が求められてきている。また、有期雇用から無期雇用への転換ルールが法制化されたことから、その対応策として正社員化などの雇用形態の見直しが迫られている。それと同時に、障害者雇用においても報酬制度、評価制度、昇格制度を整備・構築しようとする動きが大企業を中心に急速に増えている。制度化という明確な形にまでならないにしても、障害者を企業戦力としてとらえ、仕事の習熟度に伴ってより難易度の高い仕事を付与していこうという考え方が以前よりも浸透してきている。 しかし、労働者としての生産性の面から考えるとき、既存の健常者と同じ枠組みの中ではどうしても限界が出てきてしまう。そのような中で、障害者の頑張りにどのように報いるか、モチベーションアップにいかに繋げるか、根本的対応策を見出すことは容易ではない。 職業人としての自立を考えるとき、障害者本人の自助努力が欠かせないことは間違いないが、例えば図4のように、これからは企業としても、合理的配慮の提供とあわせて、個々人のキャリアプランを本人と一緒に考えていくような支援も重要である。

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