就業支援ハンドブック
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2)入社後に望まれること 送り出した障害者を当面の間は必要に応じて定期的に訪問し、企業とは異なる立場で話を聞いて欲しい。雇用管理の主体は企業であるものの、慣れない間は社内では言えないことや聞いて欲しい愚痴が溜まっていることもある。その上で企業と意見交換の場を作ると、企業、支援機関そして障害者本人、それぞれにとって有効に作用する。支援機関に“おんぶに抱っこ”の企業も散見されるが、支援機関の方でそれぞれの役割分担をコーディネートしてほしい。必要とわかれば企業も行動を起こすはずである。企業を育てるのも支援機関の役割である。3)企業と支援機関の関係 ともすると福祉サービス的な発想からの「障害者のために」という想いにより、企業からすると対立的姿勢に見える支援機関もあるが、それこそ互いの意見に耳を傾け、本当に障害者にとってどうあるのが良いかを導き出す必要がある。支援機関には障害者と企業のどちらか片方に軸足を置くのではなく、両者の間に等しく重心をおく姿勢が求められる。もし企業に「障害者を雇用してもらっている」という意識があるとするなら、それは大きな誤りである。企業から見て支援機関は専門家である。障害者雇用において、企業と支援機関はパートナーなのである。双方の信頼関係が障害者の就業を支えると言っても過言ではない。職場定着、ステップアップに大きな差が出てくる。 次に、どんな内容の仕事に適性がありそうかを整理し、うまくその能力を引き出せるようにするための職業準備性を身につけさせてほしい。企業がそこを一から始めることは、現実問題として難しい。実際の作業・事務能力を引き上げる指導については、当然企業が入社後の研修などでしっかり行うし、それで十分に間に合う。その前提となる基礎的準備に注力することが望まれる。前項で触れたようにRPA化に伴う仕事の変化が想定される中では余計に重要となってくる。働き手としてしっかりとした基礎能力の上に個別の業務能力を積み上げられている方は、多様な仕事にも対応できる力を身に付けているものである。第2節 企業の視点の理解 167

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