就業支援ハンドブック
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170 第3章 就業支援に必要な考え方一貫した支援体制を整えることで、安心感を持って次のステップへ踏み出すことが可能になるだろう。 第3に、就業に関して起こりうる様々な問題に対して適切な分野の支援を受けることが可能となる。 第4に、福祉・教育・医療のどの分野からの支援を受けようとも、そこで完結するのではなくて、必要に応じて適切な他の分野のサービスに結び付けることが可能になる。それによって、最終的には、同じ支援にたどり着くことができよう。 2)就業支援ネットワークの基本的要件 こうした就業支援に関わる地域ネットワークの意義について、関係する実務担当者は共通認識を持つことが必要である。そのうえで、障害者本人の働きたいというニーズに即応できる体制を構築するには、次のことを心掛けることが必要である3)。 第1に、ネットワークの目的や目標を共有化することである。雇用・福祉・教育・医療等の各分野の支援機関が持つ目的や目標あるいは価値観はそれぞれ固有のものがあるが、就業支援という同じ目的に対して、共通の認識を持ち、方向性を揃えて、計画的に取り組むことが必要である。少なくとも、居住地の自治体で作成された障害福祉計画に盛り込まれている内容をもとに、地域全体の就業支援の目標を共有することが重要だろう。また、目標の進捗や達成状況についてお互いに把握すると共に、担当者が交替しても組織として継続的に支援が行われるようにする必要がある。 第2に、支援対象となる障害者本人や支援に貢献する社会資源などの情報を共有化することである。特に、支援機関が協同して支援を効果的に進めるには、支援に当たって必要な情報や利用者の個別支援計画などの内容を共有することが重要である。 第3に、就業支援の質を確保することである。そのためには、支援ネットワークに加わる支援機関はお互いに「顔の見える関係」を形成することが必要である。また、就業支援を担う人材の育成を地域ごとにあるいは全国レベルで行い、常に専門性を高めるようにバックアップすることが求められている。

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