就業支援ハンドブック
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 第4に、各種の支援を調整することである。支援を一貫して行うには支援ネットワークに加わった関係機関が地域の実情に応じて役割を分担するとともに、支援が途切れないようにどの支援機関がどのタイミングで支援を行うのか、支援の各ステージで中心的な役割を果たす機関とそれを支える機関はどこか、などの支援全体の調整が重要である。 第5に、地域全体の就業支援の取組みを促進することである。就業支援に関しては都道府県・市町村における地域間格差が大きいことから、地域の実状に応じた創意工夫が必要である。特に、地域の支援の体制および連携等に関して協議する協議会などを活用して、地方自治体の取組みを促進し、それにより地域の就業支援の連携を一層進めていくことが重要である。 3)ネットワークの概念と類型 一般に、対人サービスにおけるネットワーク構築の目的とは、何らかの課題を抱えている人を取り囲む社会的連携によって、課題解決のための支援体制を作ることである。対人サービスのネットワークは、以下のように分類することができる3)。 第1は、障害者を含めた社会的な援護を要する人々やその家族を、地域レベルで直接支援するネットワークである。当事者・家族・友人・近隣などの人間関係から形成されるインフォーマルなネットワークと、支援者によるケースカンファレンスやケースマネジメントなどのフォーマルなネットワークがある。 第2は、福祉社会づくりを目指す市民活動レベルのネットワークである。これは、インフォーマルなネットワークである当事者・家族・友人・近隣などの関係者に留まらず、広くボランティアや様々な地域住民も参加したネットワークである。 第3は、機関や組織が相互に連携する組織的なネットワークである。ここでは、当事者に直接的なサービスを提供する実務担当者レベルから、それぞれの実務担当者が所属する組織が相互に連携する機関レベル、そして、それぞれの組織を管轄する行政組織の責任者レベルにいたるまで、三層構造的なネットワークがある。そこでは、サービス調整会議やサービス調整チーム、関係者協議会、関係連絡協議会などといった名称で会議の設定と 第3節 就業支援と支援ネットワーク 171

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