就業支援ハンドブック
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 5)信頼関係の形成 就業支援を進めるに当たっては、利用者本人、家族等と支援者の間に信頼関係(ラポール)を形成することが不可欠である。支援者と利用者との間に、例えば「頼りになる」「何でも話せる」関係を築く。この信頼関係は、サービスを提供していくうえで基礎となるものであり、信頼関係がなければサービスの提供そのものが不可能となる。 このような信頼関係の形成においては、インテークの段階においてこれまで述べた利用者第一、インフォームド・コンセント、自己決定の尊重、個人情報の取扱い等に関する支援機関のポリシーを利用者に的確に示すことが重要なポイントとなる。10 第1章 就業支援のプロセスと手法3)自己決定の尊重 就業支援を実効あるものとするためには、利用者本人の主体的な取組みが不可欠である。支援者側の一方的な価値観やプランを押しつけたり、理解を求めるだけでは、利用者本人の主体的な取組みが生まれてこない。このため、インフォームド・コンセントに基づき、選択の幅を広げるために充分な情報を提供し、利用者が自らの目標を自ら定めることができるような支援を行い、そのプロセスを通して利用者本人がパワーを身に付けるという「エンパワメント」の視点が重要である。 4)個人情報の取扱いと守秘義務 支援者が取り扱う情報は、干渉されたくないプライバシーであり、漏えいすると権利や利益を損なうおそれのある個人情報の塊である*。また、企業等の支援に当たっては、扱い方を誤れば法人の利益を損なう可能性がある法人情報を取り扱う。このような情報を取り扱う支援者は、職務上知り得た秘密を他に漏らさないように守秘義務を遵守することはもとより、収集する情報は業務上必要な範囲にとどめなければならない。また、その取扱いについて利用者に分かりやすく説明し、理解を得なければならない。 * 平成27年9月に改正された個人情報保護法により、平成29年5月30日から、障害に関する情報は「要配慮個人情報」とされており、あらかじめ本人の同意を得ないで取得してはならないものとなっている。

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