就業支援ハンドブック
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場定着への支援、そして職業生活を維持するための様々な生活支援まで包括されることになる。それらを担う社会資源は極めて多様だが、主要な関係者や組織としては次のものがある1)。 第1に、当事者とその周辺での人的資源がある。就業ニーズをもつ本人をネットワークの中核として、保護者や保護者会、同じ障害を抱えた仲間や当事者団体、あるいは近隣の人たちなど、身近な個人的な人間関係から形成されるインフォーマルなネットワークがある。また、市民ボランティアや特定非営利活動法人(NPO)なども当事者と直接関わる人的資源である。 第2に、就業支援を直接的に担う地域の機関がある。ハローワーク、障害者就業・生活支援センター、就労移行支援事業所、特別支援学校の高等部や各種専門校などがそれにあたる。これらに加えて、都道府県レベルで設置されている広域の支援機関として、地域障害者職業センター、障害者職業能力開発校や職業能力開発施設、発達障害者支援センターなどがある。 第3に、生活支援を直接的に担う福祉関係の機関がある。グループホーム、生活寮、生活支援センター、地域活動支援センター、福祉ホームなどである。また、福祉事務所や更生相談所、更に、地域での相談援助活動を支える民生委員(児童委員)や各種の相談員、社会的保全組織としての弁護士、税理士、社会保険労務士などもネットワークの構成員といえる。生活支援と就業支援を一体的に担う施設や機関は、今後の就業支援にあってはますます重要となろう。 第4に、特に障害者の場合には、療育相談や医療分野の専門機関も地域の社会資源として重要である。療育相談機関である保健所、地域保健機関、児童相談所、また、医療機関や施設としての病院、保健所、精神保健福祉センター、リハビリテーションセンター、リハビリテーション技術支援組織などと連携して情報を共有する必要がある。 第5に、就業支援を直接的に担う地域の機関を管轄する行政機関や団体のネットワークである。都道府県レベルでは、厚生労働省の都道府県労働局、都道府県の労働・福祉関係主管部局、教育委員会などが、地域の関係機関のネットワーク化が円滑に進められるように連携を強化することが必要である。また、当事者団体、労働組合、人権擁護機関、成年後見組織な 第3節 就業支援と支援ネットワーク 173

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