就業支援ハンドブック
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の効力も発揮されよう。 2)担当者によるネットワーク構築の手順3) 支援ネットワークを構築してそれを維持することは、障害者の多様なニーズに応えるためである。それゆえ、支援ネットワークの中核は、直接的に本人を支援する人たちを中心としたミクロ/メゾレベルの人的ネットワークであり、その意味で、支援する個々人の主体的な集まりであることが重要になる。そうしたミクロ/メゾレベルの人的ネットワークを作るには、次の4つのステップが必要となる。 第1段階は「意識の共有」である。ネットワークに参加する実務担当者個人は、自分たちは同じ目的でつながった集団に帰属しているという、心情的な共感が必要であろう。相手の組織への関心事や自組織との共通点などを理解して、会食等を通して心の垣根を取り払いながら、お互いに連帯感を高めることも必要だろう。そうした、実際に顔をあわせての意思交換により、ネットワークへの帰属意識の高まりと同時に、メンバーが相互に影響しあうことになる。 第2段階は「目標の共有」である。ネットワークの構成員となった実務担当者は、ネットワークの目標や課題を共有することが必要である。組織が異なると、意識の違いや使用する用語の意味も微妙に異なることが多く、やがては、それが意志疎通に行き違いが起こることになりかねない。したがって、参加する実務担当者は、ネットワークの目標そのものを共通言語とし、ネットワークの役割、存在価値、向かうべき方向性を明確にして、それを共有することが不可欠である。これは、同時に、実務担当者の属する機関において論議が重ねられて納得したものであると、さらに望ましい。そうした、共通の目標や展望こそが、ネットワークの活動を推進していく原動力となる。 第3段階は「情報の共有」である。これは、前の2段階を経た後になって行われるものであり、ネットワークの目標が共有されることによって、その目標の達成に関わりの深い情報が取捨選択され、ネットワークを構成する構成員や機関から提供されることになる。ネットワークの目標が明確であるほど、共有すべき情報、他機関における情報の有用性、自機関が提 第3節 就業支援と支援ネットワーク 175

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