就業支援ハンドブック
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176 第3章 就業支援に必要な考え方供できる情報などについての有効な発信や受信が可能となる。 第4段階は「知恵の共有」である。ネットワークを通して得られた情報や知識は、実務担当者たちの自組織の中に確実にフィードバックさせ、浸透させて活用できるようにしなければ意味はない。そこで得られた成果は、自組織の意識変革に結び付いて組織の成長発展の原動力となる。同時に、その過程で得られた成功事例やそのノウハウや技術は、新たな情報としてネットワークに参画している他機関にも提供されねばならない。こうした成功体験や知恵の共有は、ネットワーク内の組織間の新たな関係を生みだし、さらに力動的な関係をもたらしていく。 3)組織・機関によるネットワーク構築の手順 実務担当者が実際にネットワークを形成して支援を進めていくうちに、次第に、支援者の個人的な対応だけでは解決できない問題が出てくる。こうした問題に対処するには、支援者の所属する機関自体が連携するマクロ・ネットワークが不可欠になる。これがあって初めて、ミクロ/メゾ・ネットワークを構成している実務担当者が、ストレスを感じることなく、よりよい支援の在り方を求めていくことができる。こうした、組織のマクロ・ネットワークを構築するには、次の4つのステップが必要となる。 第1段階は「構成機関の理解」である。障害者のニーズに応答するための地域ネットワークを構成するには、構成する機関の存在を知り、その管轄地域や担当する分野と内容について理解しなければならない。また、それぞれの機関の実務担当者の知己を得て、その立場と考え方について理解するとともに、ネットワークの形成による就業支援の重要性について共通認識を促すことが必要である。 第2段階は「共通認識の深化」である。障害者雇用に対する考え方や価値観は、ネットワークを構成する機関によって異なるということを前提に考えて、情報や意識を共有することに努力を傾注することが重要となる。また、他の機関からの説明に対しては、その周辺状況も知ったうえで理解を深化させると同時に、自己の機関の活動や事業の説明に際しても、背景状況を含めて、相手が充分に納得のいくように説明することが必要である。 第3段階は「効果的な活用」である。他の機関の支援内容と現状を理解

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