就業支援ハンドブック
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第3章 第3節182 第3章 就業支援に必要な考え方3.障害者総合支援法の改正と令和6年度報酬改定 令和3年3月より、「厚生労働省社会保障審議会障害者部会(障害者部会)」において、障害者総合支援法施行3年後の見直しについて検討された。令和4年6月にまとめられた報告書において、障害者の就労支援については「就労を希望する障害者へ就労アセスメントの手法を活用した支援を制度化すること」、「一般就労中の就労系障害福祉サービスの一次的な利用を法令上可能にすること」などの提言がなされた。 令和4年12月10日に成立、同年12月16日に公布された改正障害者総合支援法では、障害者の多様な就労ニーズに対する支援を推進するため、本人の就労ニーズや能力・適性とともに、就労に必要な支援や配慮を整理し、個々の状況に応じた適切な就労につなげる就労選択支援が創設された。また、一般就労への移行や継続を障害者のニーズに応じて柔軟に支援するため、働き始めに段階的に時間を増やす場合や休職から復職を目指す場合に、一般就労中の障害者でも就労系障害福祉サービスを一時的に利用できることが法令上に新たに位置づけられた(令和6年4月1日等施行)。 なお、障害福祉サービス等報酬は3年に一度改定されているが、令和6年度の報酬改定では、障害者の一般就労への移行や就労支援施策は着実に進展している中で、さらに障害者の就労を支援するため、就労系障害福祉サービス事業の安定的、効率的な実施や生産活動収支・工賃の改善に向けた検討が行われ、利用定員や報酬体系平均工賃月額の算定方法等の見直しについて議論された。 また、新たに創設される就労選択支援の円滑な実施に向け、対象者や実施主体、報酬体系等についての検討も行われた。4.就労系障害福祉サービスについて  (各サービスの概要は第4章第2節参照)○ 就労移行支援事業 就労移行支援事業は、就労を希望する障害者であって、通常の事業所に雇用されることが可能と見込まれる者に対して支援を行い、一般就労への移行を目指すサービスである。従来、一般就労への移行実績が著しく低い場合は報酬を減算するなどの対応を行ってきたが、前述の障害者部会報告書における、「一般就労への移行実績を踏まえたメリハリを付けた評価を行うべき」との指摘も踏まえて報酬改定にかかる検討を重ね、平成30年度からは、就労移行支援を受けた後就職し、6か月定着した者の割合に応じた基本報酬を設定している。 就労移行支援を終了後、一般就労に移行した者は令和2年度においては11,614名であったが、令和3年度は13,946名となっている。

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