就業支援ハンドブック
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182 第3章 就業支援に必要な考え方○ 就労継続支援A型事業 就労継続支援A型事業は、通常の事業所に雇用されることが困難であるが、適切な支援があれば雇用契約に基づく就労が可能である者に3.障害者総合支援法の改正と平成30年度報酬改定 平成27年4月より、「厚生労働省社会保障審議会障害者部会(障害者部会)」において、障害者総合支援法施行3年後の見直しについて検討された。同年12月にまとめられた報告書において、障害者の就労支援について「工賃・賃金向上や一般就労への移行をさらに促進させるための取組を進めること」、「在職障害者の就業に伴う生活上の支援ニーズに対応するため、就労定着支援を強化すべきこと」などの提言がなされた。平成28年5月に成立、同年6月3日に公布された改正障害者総合支援法においては、障害者が自らの望む地域生活を営むことができるよう、生活と就労に対する支援の一層の充実を図るための見直しがなされ、就労定着支援及び自立生活援助の創設、障害福祉サービス等情報公表制度の創設などが行われた(平成30年4月1日施行)。 また、障害福祉サービス等報酬は3年に一度改定されているが、令和3年度の改定の際は、障害者の重度化・高齢化に伴う利用者のニーズへの対応、相談支援に係る質の向上等のための報酬改定に向けて検討が行われた。また、利用者及び事業所数が急増しているサービスがある状況を受け、サービスの質の向上や制度の持続可能性の確保等の観点を踏まえ、エビデンスに基づくメリハリのある報酬体系への転換が求められた。4.就労系障害福祉サービスについて  (各サービスの概要は第4章第2節参照)○ 就労移行支援事業 就労移行支援事業は、就労を希望する障害者であって、通常の事業所に雇用されることが可能と見込まれる者に対して支援を行い、一般就労への移行を目指すサービスである。従来、一般就労への移行実績が著しく低い場合は報酬を減算するなどの対応を行ってきたが、前述の障害者部会報告書における、「一般就労への移行実績を踏まえたメリハリを付けた評価を行うべき」との指摘も踏まえて報酬改定にかかる検討を重ね、平成30年度からは、就労移行支援を受けた後就職し、6か月定着した者の割合に応じた基本報酬を設定している。 就労移行支援を終了後、一般就労に移行した者は令和元年度においては13,288名であったが、令和2年度は11,614名となっている。就労移行支援からの移行者は令和元年までは毎年増加していたが、令和2年においては前年より減少している。

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