就業支援ハンドブック
196/300

188 第4章 就業支援に必要な知識される。まひの部位により、四肢まひ、両下肢まひ、右または左半身まひに区分される。〇痙直型:この型は障害のある部位の筋肉の緊張が強く、運動がぎこちなかったり、速く動かすことができない。〇アテトーゼ型:自分の意志で手足を動かそうとすると、意志の関わりのない不随意運動が起こり、思いどおりに運動ができないのが特徴である。発声器官が上手くコントロールされないため、言語障害を伴うこともある。 精神的緊張が強まると、脳性まひ特有の症状である不随意運動などが起こりやすくなることがあるため、リラックスできるような環境作りが大切である。   ロ.脊髄損傷 交通事故、スポーツ事故、労働災害などにより脊髄のある部分が圧迫骨折したり、脊髄腫瘍や脊髄炎などの病気のために、脊髄のその部分から下の機能が失われた状態である。頸椎であれば四肢に、腰椎以下であれば両下肢に運動機能や知覚のまひが起こる。脊髄損傷者はまひが出ているところの動きが制限され、医療管理が必要であるが、車いすや自動車などの移動手段が獲得され、作業場や作業機器などの職場環境を車いす使用で対応可能なものにすれば、就業は充分に可能になる。排泄の感覚の障害などにより、尿路感染症や膀胱炎、腎炎などにかかりやすく、定期的な検査が求められることや、知覚まひのため長時間の座位作業により褥瘡ができやすいこと、火傷、切り傷などができやすく治りにくいこと、頸髄損傷者は首から下の発汗機能の障害により体温調節が難しく、部屋の温度調整が必要であることなど、運動機能以外の困難さに配慮が必要である。   ハ.脳血管障害 脳血管障害は、脳の血管の病変(出血や梗塞)によって生じた脳の障害で、病変の起こった反対側の半身に痙性まひが現れる。病型により、脳内出血(脳出血、くも膜下出血)と脳梗塞(脳血栓、脳塞栓)に区分される。 障害特性としては、運動機能障害(片まひ、失調)や知覚障害(感覚脱

元のページ  ../index.html#196

このブックを見る