就業支援ハンドブック
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  ホ.切断 外傷、疾病など様々な原因で、四肢の一部を失った場合、義肢(人工の手足)などを装着することで、形態的・機能的障害を補うことができる。受傷早期には、心理的ショックが大きい。義肢(義手・義足)を装着し使用訓練を行えば、就業は可能である。  ② 視覚障害 視覚障害者の障害の状態、程度は様々である。また、重度の視覚障害者(身体障害者手帳の1・2級)といっても、視力を全く失った人から、矯正した両眼の視力の和が0.04以下の人まで様々となる。視機能が低下して日常生活や就労等に支障をきたす状態はロービジョン(弱視)と呼ばれ、拡大読書器やルーペ等の補助具により、独力で文字の読み書きができる場合がある。歩行については、白杖や盲導犬を用いなければ単独歩行が困難な人から、残された視力を使って単独歩行が可能な人までいる。また、視覚障害者は視力の障害以外に、視野欠損、視野狭窄、色覚異常、眼球運動の異常等を伴っている場合もあり、障害の状態や程度も異なってくる。 視覚障害者の雇用に当たっては、職務内容そのものの他、通勤、コミュ失、しびれ、視野障害)に加え、高次脳機能障害(失語、失行、失認、注意障害、記憶障害、病識欠如など)が合併しやすいのが特徴となる。よって、運動機能障害とともに、高次脳機能障害への対応が不可欠となる(高次脳機能障害の項目(191ページ)参照)。   ニ.脳外傷(頭部外傷) 脳外傷では、頭部に強力な外力が加わり、脳の組織が損傷されることにより、後遺症として運動機能障害や精神機能障害が起こる。運動障害は比較的軽傷ですむ場合が多いのに対し、注意障害や記憶障害などの認知機能障害が重度となる場合がある。注意力・集中力の障害、精神的疲労、記憶障害、情緒不安定、欲求不満耐性低下、うつ状態、ひきこもり、抑制低下など、知的・認知的・社会的・情緒的機能へのアプローチが重要となる(高次脳機能障害の項目(191ページ)参照)。 第1節 障害特性と職業的課題(身体障害) 189

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