就業支援ハンドブック
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 ④ 内部障害 内部障害には心臓機能障害、腎臓機能障害、呼吸器機能障害、ぼうこうまたは直腸の機能障害、小腸機能障害、ヒト免疫不全ウィルスによる免疫機能障害、肝臓機能障害の7つの種類がある。身体障害者福祉法による障害等級は1級、3級、4級の3段階(免疫機能障害および肝臓機能障害は、1級、2級、3級、4級の4段階)となっている。判定に際しては、障害原因別に一定の医学的基準が設けられているが、職業能力の点からみると、等級と必ずしも一致しない。例えば、腎臓機能障害の場合、1級の人は腎臓機能をほぼ全廃している最重度となるが、人工透析治療を行うことによって、労働時間や疲労への配慮等により健常者と変わらない状態で働くことができる。 それぞれの内部障害者に共通していることは、体力や運動能力が低下していることである。重い荷物を持つこと、走ること、速く歩くこと、坂道や階段を上がることなど、急激な肉体的負担を伴う行為が制限される。また、風邪をひきやすいとか、自己管理を怠ったり、過労になると体調を崩しやすいといった点があるが、これは本人や周りの人がよく注意し、睡眠時間や食生活などの工夫をするなど、自己管理をきちんとすれば特に問題ない。必要に応じて、本人や主治医、専門医より留意事項等の情報を入手しておくことが大切となる。 ⑤ 高次脳機能障害 脳血管障害や脳外傷などの脳損傷により、身体機能障害だけでなく種々の精神機能障害が生じる。精神機能障害は高次脳機能障害とも言われるが、精神機能を司る脳の損傷部位の違いにより高次脳機能障害は、ⅰ全般的障害としての意識障害と認知症、ⅱ巣症状(脳の限局した一部の破壊等により現れる症状)としての失語症、失行症、失認症等、ⅲ一般精神症状としいるということに留意が必要である。情報障害ゆえに、常識が欠如している、気が利かないと誤解されたり、ちょっとしたコミュニケーションの困難さから疎外感や孤立感を感じるといった心理的側面や職場の人間関係における相互作用に配慮しなければならない。 第1節 障害特性と職業的課題(身体障害) 191

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