就業支援ハンドブック
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192 第4章 就業支援に必要な知識ての注意障害、記憶障害、意欲障害に分類される。 就業支援では、ⅰの意識障害や認知症は障害が重度で日常生活にも大きな支障をきたすので困難を伴う。また、ⅱの巣症状とⅲの一般精神症状について、重症度が問題となる。程度が重ければ日常生活にも大きな影響を及ぼし、軽度の場合には、日常生活ではさほど支障とならなくても、職業生活遂行上は問題となるので留意が必要となる。就職・復職支援に当たってのポイントや職場でのサポートについては、障害者職業総合センター職業センターが実践を基にとりまとめた実践報告書・支援マニュアルを参照いただきたい(資料273ページ以降参照)。 なお、高次脳機能障害については、身体障害者障害程度等級表に掲げる身体上の障害がある場合はもちろんのこと、失語症による聴覚・言語障害として申請しても身体障害者手帳交付の対象となるが、最近は、身体障害を伴わず注意障害や記憶障害等の高次脳機能障害だけ有する場合に、精神障害者保健福祉手帳を取得するケースが一般的になっている。 障害特性に関しては、〇症状が多様で複雑であり、〇外見からは見えにくく、〇症状が不安定で、〇症状出現が不規則、〇本人にとっても症状が自覚されにくいなどが挙げられる。障害把握の方法としては、〇神経心理学的検査による症状の正確で量的な把握が必要であるとともに、〇机上検査だけでなく、日常生活場面や職業生活場面などの現実場面における行動観察を通じて、どのような場面でどのような問題が生じるかについての質的な把握が必要となる。そうすることによって具体的な対応策の検討が可能となる。

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