就業支援ハンドブック
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   イ.失語症(左大脳半球の障害による代表的な症状) 脳の器質性の病変により、「聴く」、「話す」、「読む」、「書く」といった言語シンボルの理解と表出に障害をきたした状態を失語症というが、損傷部位や損傷の大きさにより、症状や程度が異なる。一般的には言語中枢は左大脳半球にあり(身体機能障害として右片まひを合併することが多い)、前方が損傷されると主に言語の表出の障害が、後方が損傷されると主に言語の理解の障害が出現する。これは口頭言語(話す、聴く)だけでなく、書字言語(書く、読む)にもあてはまる。また、計算障害も生じる。これらの障害により、職業場面では、対面会話や電話の応対が不可欠な営業職、読み・書き・計算が不可欠な事務職、報告書作成等種々の技術を必要とする技術職などでの就業が困難になる。就職や復職を考えるうえで、失語症は軽度であっても、電話対応や、対人業務、職場内コミュニケーション等での課題が生じる可能性もあるため、職業能力を適切に見極めることが重要である。 以下、代表的な各症状について説明する。出典)大川弥生:職リハネットワーク(No.22).1993に基づく。ただし、痴呆は認知症に変更。1) 第1節 障害特性と職業的課題(身体障害) 193高次脳機能障害の分類

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