就業支援ハンドブック
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   ヘ.遂行機能障害(前頭葉損傷で出現しやすい症状) 遂行機能は実行機能とも呼ばれる。人が自立し、目的にそって自律的に行動する能力と定義され(Lezak;1995)、内容的には、〇目標の設定(自発性や意図を必要とする構想能力)、〇計画の立案(行動を導く枠組みの設定)、〇計画の実行(複雑な一連の行動の系統的な開始・維持・終了)、〇効果的な行動遂行(自分自身の行動を監視し修正する能力)の4つの要素に分類される。遂行機能障害は、脳の損傷部分に着目すれば、活動のプログラム、調整、実行の役割を担っている前頭葉障害との関連が強いといえるが、障害によって起こる行動上の変化に着目すれば、気が散りやすい、行動の修正が困難、社会生活上不適当な振舞いをしがち等、一般精神症状(意欲障害、注意障害、記憶障害)と心理・社会的行動障害(自発性低下、衝動性、脱抑制、抑うつ、不安・興奮・乱暴などの異常行動)の中間に位置するものと考えられる。196 第4章 就業支援に必要な知識記憶の分類 ─内容による分類─<Tulving;1972>

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