就業支援ハンドブック
206/300

198 第4章 就業支援に必要な知識定基準により発行されている。 知的障害の定義の解説として多く用いられるものに、アメリカ知的・発達障害協会(AAIDD:American Association on Intellectual and Developmental Disabilities)における定義1)がある。【アメリカ知的・発達障害協会(AAIDD)における定義】 知的障害は、知的機能と適応行動(概念的、社会的および実用的な適応スキルによって表される)の双方の明らかな制約によって特徴づけられる能力障害である。この能力障害は 18歳までに生じる。この定義を適用するには以下の5つを前提とする。1 .今ある機能の制約は、その人と同年齢の仲間や文化に典型的な地域社会の状況の中で考慮されなければならない。2 .アセスメントが妥当であるためには、コミュニケーション、感覚、運動および行動要因の差はもちろんのこと、文化的、言語的な多様性を考慮しなければならない。3.個人の中には、制約と強さが共存していることが多い。4 .制約を記述する重要な目的は、必要とされる支援のプロフィールを作り出すことである。5 .長期にわたる適切な個別支援によって、知的障害がある人の生活機能は全般的に改善するであろう。○知的機能とそのアセスメント 知的機能には、推論する、計画する、問題を解決する、抽象的に思考する、複雑な考えを理解する、速やかに学習する、および経験から学ぶことが含まれる。1) この知的機能は、標準化された評価尺度によって得られた知能指数(IQ)によって表すことが一般的である。そして、「知的機能の明らかな制約」は、使用する知能検査の標準測定誤差と、検査の長所および制約を考慮して、IQ得点が平均より約2標準偏差以上低いことを指す、とされている。1) 代表的な知能検査は、ビネー式(田中・ビネー式知能検査など)とウェクスラー式(WAIS-R成人知能検査、WAIS-Ⅲ成人知能検査など)である。○適応行動とそのアセスメント 適応行動は、日常生活で人々が学習し、発揮する概念的、社会的および実用的なスキルの集合である。1) 「適応行動の明らかな制約」は、障害のある人とない人を含む一般的な集団に基づいて標準化した尺度によって、(a)適応行動の3つの型(概念的、

元のページ  ../index.html#206

このブックを見る