就業支援ハンドブック
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  イ.入力の制限 処理能力を超える多くの情報が一度に入ると、誰もが適切な行動を行えなくなる。指示が抜ける、周囲に配慮できないなどといった課題は処理能力を超えているために起こることであるが、それは仕事ができない、物わかりが悪いといった偏見の強化や感情のしこりを生む原因ともなる。着実知的障害に対する特有の支援技法がある訳ではない。そのため、記憶力や注意力の低下に対する補償方法、物事をわかりやすくする構造化の方法など、認知障害に対するアプローチ法を共有し、課題に応じて利用することが有効となる。【認知障害に対する環境調整において考慮すべきポイント】○入力の制限 → 情報伝達は処理能力の範囲内に納めること。○作業の分割 →  一度に処理できない複雑な作業は簡単な作業へ分割し、処理しやすくすること。○構造化 →  理解しやすい構造化された環境を整備し、混乱や間違いを少なくすること。○手がかり →  行動をはじめるきっかけとなるように、適切な視覚、聴覚刺激を示すこと。○失敗のない学習 → 失敗経験の少ない学習を行うこと。○ストレス・疲労を減らす → 十分な時間を取ることを許し、疲れないようにすること。(渡邉修ほか:"認知障害 ".総合リハビリテーション(Vol.29,No.10).2001.P910より一部抜粋・加筆・変更2)) 第1節 障害特性と職業的課題(知的障害) 201

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