就業支援ハンドブック
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  ロ.作業の分割、構造化、手がかりの提示 支援に当たっては、支援者が作業を熟知し、そのうえで作業のプロセスや内容を分割・整理し、できるだけわかりやすくシンプルなものに構造化して示す工夫が求められる。その際、手がかりの提示を組み合わせるなど、ちょっとした工夫により、職場環境をより分かりやすいものに再構成することが可能である。詳しくは、69~72ページに記載している3)行動を習得する(課題分析)、4)環境の構造化の考え方、5)さまざまな支援ツールを参照されたい。  ハ.失敗のない学習 認知に障害がある場合は、スムーズな課題遂行のために失敗体験を繰り返さないようにすることが重要である。これは、失敗の試行錯誤から抽象的な一般法則を学ぶことが難しいことに加え、失敗体験が手続き記憶として残り、かえって正しい学習の妨害となってしまうことによる。目標を段階的に設定する、目標を絞る、具体的な到達目標を示す、習得の成果を確認し正しい行動を強化するなどの、失敗体験を繰り返さないための配慮が必要となる。 また、知的障害のある人は、注意された時に状況を充分把握できないため、何が正しくて何が誤っていたのか分からないまま、「叱られた」といるものである。伝えたい内容をあらかじめ整理し、視覚的資料にしておくことで、明文化されていない多くの情報をコンパクトに、かつ確実に伝えることに役立っている。 第1節 障害特性と職業的課題(知的障害) 203  図1 マニュアル             図2 準備すべき道具一覧就業支援ハンドブック全頁.indd 20412/05/24

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