就業支援ハンドブック
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204 第4章 就業支援に必要な知識  ニ.ストレスや疲労を減らす 知的機能に制限があり、取りまく環境や文脈の意味や見通しが見えない中で様々な課題に対処することは、周囲が想像する以上にストレスが多くて疲れることかもしれない。ストレスや疲労は課題解決や習熟、職場適応を妨げる原因となる。ストレスや疲労を減らすためには、ゆっくりと学び、ゆっくりと成長するための充分な時間を保障することが望ましい。 したがって、特に新しい環境に入る導入の段階などには、一人ひとりの状況確認や関係者間の調整のうえで、勤務時間や休日などの勤務条件や作業量における負担軽減の配慮を行うべきかどうかの検討をする必要がある。現場で頻繁に実践されている職場実習は、目標を段階的に設定でき、比較的緩やかな環境で職場に慣れる機会となることから、疲労やストレスの軽減を図る試みでもある。う感情面の記憶だけが残り、正しい行動も身につかず自信を失っていくという悪循環に陥ることも多い。どのポイントが正しく、どのポイントが誤りであるかについては具体的に示し、正しい行動は評価し、誤りについてはどうすべきなのか正しい行動を示すことが求められる。 障害者雇用の経験が豊富な企業では、朝礼・ミーティングの実施や、作業報告のタイミングのスケジュール化、作業日報の提出などにより、業務の範囲内で可能な限りフィードバックの機会を設け、具体的な評価を伝達するための工夫を行っている。【教示の際の留意点】○ 認知や注意力との関係で生じるミスを事前に防ぐ工夫を講じること。〇ミスの批判ではなく、作業の手を止めて、正しいやり方を教えること。○教示はミス発生後直ちに行うこと。○声を荒だてないこと。○最初に戻って修正を行うこと。○上手くできた直後に、そのことを軽く述べること。○「援助なし」でできるまで練習をすること。

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