就業支援ハンドブック
220/300

212 第4章 就業支援に必要な知識   ハ.慢性期の症状 陰性症状が主体となるが、陽性症状も持続している場合がある。(ホ)意欲・行動の障害■  緊張病症候群は、緊張型統合失調症に出現する急性期症状であるが、慢性期にも見られることがある。また、自発性減退(発動性欠乏)は、 程度の差はあっても、ほとんど常に見られる。 ・激しい不穏興奮(緊張病性興奮) ・呼びかけにも反応がなく、全く動かなくなる(緊張病性昏迷)(へ)感情の障害 初期や再発時には不安、抑うつ、当惑、情動の不安定性がしばしば見られる。また、急性期の陽性症状が軽快したころに抑うつ状態に陥ることがある(精神病後抑うつ)。喜怒哀楽の感情表出が減少し、表情は乏しく、声も単調になる(感情鈍麻、感情の平板化)。(ト)両価性 同一の対象に対して、愛と憎しみなど、相反する感情が同時に存在する状態。感情だけでなく、意志や知的な面(相反する考えを同時にもつ)にも認められる。(チ)自閉 外界に比して内的生活が病的に優位となり、現実から離脱してしまうこと。(リ)疎通性の障害 会話は成立しても、共感性が乏しく、意思が通じにくいという印象を受ける。(ヌ)病識の障害 急性期にはほとんどの患者に病識がない。症状が改善してくるとともに、病識もある程度出現してくる。(イ)幻覚や妄想 急性期に比較して、不安や恐怖などの感情反応を伴わない。 誇大妄想は、慢性期に見られることが多い。(ロ)思考過程の障害 連合弛緩や思考の貧困(会話が少なくなり、内容も乏しくなる)が見られる。(ハ)自発性減退 慢性期の最も明らかな症状。表情が硬く、ひそめ眉やしかめ顔、独語が見られることがある。(ニ)感情鈍麻 慢性期によりはっきり現れ、周囲に無関心、冷淡となる。

元のページ  ../index.html#220

このブックを見る