就業支援ハンドブック
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  (3)非定型精神病 統合失調症、気分障害、てんかんの特徴のうち、いずれか2つあるいはそれ以上を併せ持つ場合に呼ばれる病名である。ICD-10では既に存在しない病名であるが、ICD-10における統合失調感情障害にほぼ当たるとされる。  (4)中毒精神病(依存症) 依存症は、障害の現れ方により、急性中毒、有害物の使用、依存症候群がある。依存症の特徴のひとつは、その物質をどうしても得たいという渇望である。依存症の場合は、その渇望を満たすために必要な物質の量が、 徐々に増えていくという問題がある。また、その物質を続けて服用・使用しない場合に起こる禁断症状がある。物質の種類による分類は、ICD-10では、アルコール、アヘン類、大麻のほか、鎮静薬または催眠薬、コカイン、カフェイン、幻覚剤、タバコが含まれている。  (5)器質性精神障害 器質性精神障害は、その名のとおり、脳器質の疾患が原因の障害である。代表的なアルツハイマー型の認知症では、脳の変性による痴呆が徐々に進行していく。血管性障害は脳の血管のトラブルによって起こり、急激に、あるいは階段状に進行していくものである。  (6)その他の精神疾患 ここでは、その他の精神疾患で、代表的なものを挙げる。疾患は、個人によって症状も生活上の制限にも大きな差違があるので、対象者ごとに、医療機関との連携を保ちながら、その症状、治療法等について、詳しく把握しておくことが肝要である。   イ.神経症(Neurosis) 神経症は不安を特徴とする一連の疾患である。ICD-10では、「神経症性障害、ストレス関連障害および身体表現性障害」とまとめられている。不安の現れ方によっていくつかの類型に分けられる。不安の対象がはっきり 第1節 障害特性と職業的課題(精神障害) 217

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