就業支援ハンドブック
228/300

220 第4章 就業支援に必要な知識欠かせない、という独特の構造がある。○偏見や無理解(未理解)の存在 社会的な偏見や無理解(または未理解)の存在を無視できない。また、そのことが本人や家族の痛手を倍加させている。精神障害者が働くことについての理解も人によってまちまちで不安定である。○告知するか否かの問題 障害を明かすか否かが問題になる人が多い。精神障害について明かすことと伏せることでのそれぞれのメリット、デメリットが具体的に何であるかの検討が必要である。○再発不安と露見恐怖の重荷 働く時に、病気がまた悪くなるのではないかという再発不安と、病気があることを他の人に知られるのではないかという露見恐怖を背負う人が多い。いずれも大変な恐怖・不安となる。それだけでも大きなハンディキャップである。○変化への弱さ 人間関係の変化、立場の変化、生活の変化、仕事の変化等々、変化に対して非常に弱い面がある人が多い。このため、職場への定着が難しく離転職が多くなっている。○易疲労性(疲れやすさ) きまじめで手を抜けない、常に緊張状態で気が休まらないといった傾向や薬の副作用などから、疲れやすく基礎的体力に課題を持つ人が多い。○作業遂行力の制限 疾患や薬の副作用、緊張の強さなどから、手指の不器用さ、ぎこちなさなどの運動機能の低下、記憶や判断といった認知機能の低下が見られることがある。これにより、作業能率や仕事の理解・判断力に制限が生じる。○社会的未成熟さ 思春期や青年期に発症した場合、職業的な自己理解や社会常識的なマナーやルールを身に付けるうえで経験不足となっていることがある。○対人関係の適応の難しさ 周囲の評価に敏感になる、相手の言っていることを被害的に受け止めがちになる、自分の気持ちを上手く伝えられない、頼まれると断れない、自己懲罰的になるなど、人間関係に関する認知面や対人・コミュニケーションスキル面で難しさを感じる人が多い。○生活基盤の援助が必要 生活基盤に関する適切な援助が必要な人が多い。多くの人々が生活基盤を欠いているか、貧弱であるというハンディキャップを有する。 また、生活管理が難しい人が多い。部分的にできても全体的なまとまりのあるバランスのとれた生活管理が難しい人が多い。

元のページ  ../index.html#228

このブックを見る