就業支援ハンドブック
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1)発達障害の概要 ① 発達障害とは 「発達障害」とは、発達障害者支援法における定義では、「自閉症、アスペルガー症候群その他の広汎性発達障害、学習障害、注意欠陥多動性障害その他これに類する脳機能の障害であってその症状が通常低年齢において発現するものとして政令で定めるもの」である。 発達障害は、医学の診断では、知的障害や脳性まひ等も含め、発達期におこる様々な障害を包括する概念である。しかし、発達障害者支援法では、知的障害者福祉法や身体障害者福祉法では対応できない発達障害を対象としている。したがって、発達障害者支援法が定義する「発達障害」であって知的障害を伴う場合は、両法の対象となる。 発達障害の医学的診断基準としては、アメリカ精神医学会のDSM-Ⅳ -TR1)や世界保健機構(WHO)の ICD-11があり、診断名毎に症状や特性が示されている。ただし、症状や特性が診断名どおりに明確に区分されず重複することも多い。また、医学用語や教育用語における名称や定義に違いがあることや、専門医の診断体制が整備途上であるほか、成長とともに症状や特性が変化することもあり、診断した専門機関や診断時期によって異なった障害名(診断名)がつけられる場合もある。図4は、それぞれの障害の関係を示したものである。 なお、発達障害は中枢神経系の障害から生ずるとされており、しつけや環境、本人の怠けや性格による問題とは無関係である。脳の損傷部位や損傷時期などは明確ではない。 第1節 障害特性と職業的課題(発達障害) 225図4第4項 発達障害

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