就業支援ハンドブック
234/300

226 第4章 就業支援に必要な知識 ② 発達障害の特性 自閉症、アスペルガー症候群、広汎性発達障害/自閉症スペクトラム障害、学習障害、注意欠陥多動性障害について説明する。  イ.自閉症 自閉症とは「社会性」「コミュニケーション」「想像力」の3つの領域について発達の偏りがある障害である。これは、自閉症の3つの特徴と言われる。ただし、現れ方や程度は人それぞれとなる。 3つの特徴の他、視覚・聴覚・味覚・臭覚・触覚における過敏・鈍感といった感覚の障害や、靴のひもが結べない、スキップや縄跳びができないなどの不器用さが見られるほか、集中が困難で妨害刺激の影響を受けやすい、多くの刺激の中から必要な刺激を選択できないといった注意障害が特徴として見られる場合がある。 これらの障害は、本人も周囲も気付かないうちにストレスや能率低下の原因となり、職業生活に影響を与えることもある。このため、一人ひとりの障害状況を確認し、不要な感覚刺激を取り除く、苦手な部分をカバーする代償手段を用意するなど、必要に応じて環境調整や配慮が求められる。【参考:発達障害と知的障害】 発達障害とは、知的機能や発達に「遅れ」や「偏り」があることを表す。知的障害は、特に重度である場合は、知的機能や発達の「全般的な遅れ」 を示す。知的機能や発達の「偏り」とは、全般的な遅れとは異なり、認知や行動面の一部の領域に発達の遅れが見られたり、得意不得意の差が大きかったり、情報処理の仕方や物事の感じ方、理解の仕方に一般とは異なる質的なゆがみのあることを示す。 「発達障害」は、知的障害を伴わない場合、伴ったとしても知的障害の程度が軽度な場合、知的障害を伴う場合に分けられる。知的障害を伴う人も多いとされる自閉症などの広汎性発達障害では、知的な障害がない場合(おおむね IQ85以上とされるが、IQ70~75の知的ボーダー層を含めることもある。)を高機能自閉症、高機能広汎性発達障害などと呼んで区別することがある。なお、「軽度発達障害」という用語が用いられる場合があるが、これは、発達障害の程度を示すものではなく、知的障害のない発達障害を総称するものとして使われている。

元のページ  ../index.html#234

このブックを見る