就業支援ハンドブック
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  ハ.広汎性発達障害(PDD:PervasiveDevelopmentalDisorders)/    自閉症スペクトラム障害(ASD:AutismSpectrumDisorder) DSM-Ⅳでは「広汎性発達障害(PDD)」として、「自閉性障害」、「アスペルガー障害」、「レット症候群」、「小児崩壊性障害」等が挙げられていたが、2013年5月に改定されたDSM-52)では、 「広汎性発達障害」が「自閉症スペクトラム障害」に変更されている。 従来の、「自閉症スペクトラム」という概念は、自閉症の3つの特徴を持つ人々を、自閉症やアスペルガー症候群などと分類するのではなく、特徴の現れ方や程度により濃淡のある連続体として捉えたもので、障害分類や健常との境目が明確にないという考え方を指していた。今回規定された「自閉症スペクトラム障害」でも、この考え方を踏まえつつも、これまで「広汎性発達障害」に分類されていた、レット症候群は、遺伝子異常であることの判明や、正常な発達後に退行が起こること等の事由により「自閉症スペクトラム障害」の分類から除かれ、自閉性障害、アスペルガー障害、その他の特定不能の広汎性発達障害などの広汎性発達障害の概念を再統合した。また、「自閉症スペクトラム障害」は、①社会コミュニケーション及び対人的相互作用に係る問題、②行動、関心、活動の限局的、反復的な特徴に係る問題(活動や興味の範囲の著しい制限・変化への抵抗等に係る問題)の2基準で定義されており、従来の対人関係障害として「社会性」として表記されていた特徴と、「コミュニケーション」に係る特徴が一つにまとめられており、②の行動、関心、活動の限局的、反復的な特徴に係る問題については、感覚の過敏性、鈍麻性の特徴、環境の感覚的側面に係る興味が、下位分類に加えられている。 なお、ICD-10においては「広汎性発達障害」として、「小児自閉症〔自閉症〕」や「レット症候群」、「他の小児期崩壊性障害」、「アスペルガー症候群」等が挙げられている。  ニ.学習障害(LD:LearningDisorders、LearningDisabilities) 学習障害は、一般的には、全般的な知的発達の遅れがないにも関わらず、読み書き能力や計算能力などの学習面の能力に限定的な障害やアンバランスさが見られることを指す。しかし、学習障害という用語は、医学用語 第1節 障害特性と職業的課題(発達障害) 229

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