就業支援ハンドブック
238/300

230 第4章 就業支援に必要な知識(Learning Disorders)や教育用語(Learning Disabilities)として、あるいは日常場面で用いられる際には異なった意味で用いられることがある。学校においては、勉強においてつまずきや遅れのある場合を幅広く含むことがあり、医学においては、医学的な診断基準による障害に限定している。 発達障害としての学習障害は、様々な様相を示すことが多く、広汎性発達障害や注意欠陥多動性障害など他の障害や、それらの障害特性と重複する場合もある。学習障害は概念として幅広いことや、発達による変動が大きい児童・生徒が対象になることが多いため、他の障害との重複や境界の判断が難しいとも言われる。 DSM-Ⅳでは、学習障害を「読字障害」「算数障害」「書字表出障害」の3領域の単独の障害、もしくはその重複に限定している。  ホ.注意欠陥多動性障害    (ADHD:AttentionDeficit/HyperactivityDisorder) 注意欠陥多動性障害(ADHD)は、ケアレスミスが多い、注意散漫といった「不注意」、落ち着きがなく動き回る、じっとしていられないといった「多動性」、せっかち、後先を考えずに突然飛び出してしまうといった「衝動性」を主な特徴とする発達障害である。診断基準としては、主にDSM-ⅣやICD-10が用いられるが、その基準は、客観的な生物学的特徴や医学的検査ではなく、行動観察や面談を通じた情報に基づく状態の臨床的な判断による。ADHDの正確な原因は不明であり、行動をコントロールする【DSM-Ⅳにおける診断基準】 「読字障害」「算数障害」「書字表出障害」の3つの障害それぞれについて、その診断基準は、次のとおりとされる。A .個別施行による標準化検査で測定された能力が、その人の生活年齢、測定された知能、年齢相応の教育の程度に応じて期待されるものより十分に低い。B .基準Aによるそれぞれの障害が、それぞれの能力を必要とする学業成績や日常の活動を著明に妨害している。C . 感覚器の欠陥が存在する場合、それぞれの能力の困難は通常それに伴うものより過剰である。

元のページ  ../index.html#238

このブックを見る