就業支援ハンドブック
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ための抑制力や集中力、計画力、動機づけなどを司る前頭葉などの中枢神経系に機能不全があるとされている。 ADHDには、不注意の特性が強い「不注意優勢型」、多動や衝動性の特性が強い「多動性─衝動性優勢型」、両方の特性が混合した「混合型」の3つのタイプがある。ただ、成長すると見かけ上の多動性は減少することが多いなど、年齢や発達、環境により特性は変化する。自閉症やアスペルガー症候群などの特性と重複している場合には、自閉症を優先診断する考え方が提唱されているが、実際には重複診断されることも多い。また、幼少時の診断がADHDであっても、成人してから広汎性発達障害と診断名が変更されたり、合併症として診断名が追加される場合もある。【DSM-Ⅳにおける診断基準】 「不注意」もしくは「多動性─衝動性」の症状のうち、6項目以上が少なくとも6か月以上持続したことがあり、その程度が発達の水準に相応しない不適応的である場合に診断される。(1)不注意 ○ 学業、仕事またはその他の活動において、しばしば綿密に注意することができない、または不注意な過ちをおかす。 ○ 課題または遊びの活動で注意を持続することがしばしば困難である。 ○直接話しかけられたときにしばしば聞いていないように見える。 ○ しばしば指示に従えず、学業、用事、または職場での義務をやり遂げることができない(反抗的な行動、または指示を理解できないためではなく)。 ○課題や活動を順序立てることがしばしば困難である。 ○ (学業や宿題のような)精神的努力の持続を要する課題に従事することをしばしば避ける、嫌う、またはいやいや行う。 ○ 課題や活動に必要なもの(例:おもちゃ、学校の宿題、鉛筆、本、または道具)をしばしばなくす。 ○しばしば外からの刺激によって容易に注意をそらされる。 ○しばしば毎日の活動を忘れてしまう。(2)多動性─衝動性<多動性> ○しばしば手足をそわそわと動かし、またはいすの上でもじもじする。 ○ しばしば教室や、その他、座っていることを要求される状況で席を離れる。 第1節 障害特性と職業的課題(発達障害) 231

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