就業支援ハンドブック
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 ② 支援のポイント 発達障害とひと言でいっても、様々な障害名(診断名)やそれぞれの症状・特性の違い、その組合せや程度、現れ方、知的障害の有無・程度、二次障害の有無・程度、社会的・環境条件との相互作用などから、一人ひとりの障害像や様相は極めて多様となる。その中で、周囲の人間のみならず本人自身さえ、障害によるつまずきや課題を別の要因によるものと捉える場合も多く、障害が見過ごされ、適切な対応が先送りにされることがある。 したがって、発達障害に対する支援においては、発達障害の認知面・行動面の課題を、環境との関わりの中で個別に具体的に整理していくことが基本的なポイントとなる。 ポイントとなる事項をいくつか列挙する。  イ.本人、家族および支援者の障害に対する理解 支援を始めるに当たってはまず、適切な診断が行われていることが望ま ○抽象的な指示が理解できない。 ○指示が理解できなくても返事をすることがある。 ○仕事の優先順位が分からない。 ○ひとつの仕事をしながら、同時に別のことをこなすことが難しい。 ○作業の手順、段取りを自分で考えることが苦手。 ○指示とは異なる勝手な判断基準で作業をしてしまう。 ○自分のやり方に固執し、修正を受け入れられない。 ○仕事の量や時間などの見通しが持てないと不安に感じる。 ○急な変更等があると混乱する。<社会性・コミュニケーション> ○ 同僚、上司等、立場の違いに応じた敬語の使い分けなど、場面や立場を考慮した発言ができない。 ○ストレートに自己主張しすぎて、同僚や上司と衝突する。 ○ 人から注意されたとき、謝罪しない、言い訳するなど適切な対応ができない。 ○暗黙のルールなど、明文化されていないことが分からない。 ○割り当てられた自分の役割以外は、自分から行おうとしない。 ○休み時間と作業時間の区別が付きにくい。 ○ 分からないとき、困っているときなどに自ら助けを求めないか、求められない。 第1節 障害特性と職業的課題(発達障害) 235

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