就業支援ハンドブック
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238 第4章 就業支援に必要な知識  ハ.職場環境の調整 発達障害者に対する就業支援においては、企業に対し障害特性の理解を求めるとともに、必要な環境調整を実施することが不可欠となる。環境調整や人的な配慮を行うことにより、障害による課題に対する訓練のみに着目するよりも、苦手な部分が無理なく代償されたり、得意な部分を活かし高い能力を発揮できるようになることが多い。発達障害のある人のために明文化されないルールやノウハウを明確化したり、環境の構造化をすることで、職場における曖昧さがなくなり、職場全体の仕事のしやすさが改善するなど、障害者だけでなく、他の従業員のメリットにつながることも少なくない。 英国自閉症協会が企業向けに作成したガイドブック「アスペルガー症候群の人を雇用するために―英国自閉症協会による実践ガイド―」5)では、企業がアスペルガー症候群の人を雇用し、雇用管理において成功するため【職業リハビリテーションのためのワーク・チャレンジ・プログラム─教材集─】3) ※参考文献および資料参照 発達障害者の職業上の課題への対応を目的として、職場の基本的なルールを明示し、また、誤った理解をしている対象者の背景にある考え方などについて検討するためのワークシートや、学習された知識の行動化を確認するための作業遂行課題等によって構成されている。【ワークシステム・サポートプログラム】 ※資料参照 発達障害のある人に対する就職に向けた技能トレーニングの支援技法。グループワークや作業訓練、個別相談を相互に組み合わせた職業的自立のために必要なスキルを身につけるための支援である。グループワークで習得するスキルには、職場対人スキル、問題解決スキル、リラクゼーションスキル、マニュアル作成スキルなどがある。 プログラムの中には、発達障害のある人自身が、思考や行動の特徴、障害特性や職業上の課題、就職希望条件、企業に配慮を依頼すること(職場環境の調整方法等)を取りまとめる「ナビゲーションブック」の作成や活用方法の習得も含まれる。

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