就業支援ハンドブック
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242 第4章 就業支援に必要な知識1)難病による障害とは 平成27年1月の「難病の患者に対する医療等に関する法律(難病法)」の施行により、国をあげて難病の治療研究を進めるとともに、患者の医療費負担の軽減と、患者が治療を継続しながらも社会参加できるような総合的支援を進めることとされている。 従来、国の難病医療費助成の対象疾患は 56疾患に限定されていたが、一部の重症患者を除き、多くの患者は通院・服薬等の治療を続けながらも特に介護等は必要とせず、日常生活自立が可能な、生産年齢にある難病患者は 40万人を超えていた。平成 27年1月の難病法の施行により新たな医療費助成制度が確立されてから、その対象疾患は順次拡大され、令和3年11月からは338疾患が「指定難病」となり、さらに、安定した最新の治療を受け、日常の自己管理や服薬、通院等を続けながら、就労を含む社会参加が可能な人たちの増加が見込まれる。 従来の障害認定では症状の固定した後遺症や永続する障害のみを認定することが多いが、難病患者では必ずしもそれに該当しない障害状況が見られる。「難病」というと一般的な先入観として重篤な障害を想像しやすいが、障害認定のない難病患者の多くは、むしろ通常は健常者と変わらず生活し、外見からでは難病患者とは分からないことが多い。ただし、体調が崩れやすいことから、就職はできても、その後の治療と仕事の両立に苦労し、就業継続が困難となっていることが多い。 従来から、難病を原因とした身体障害者や精神障害者は雇用対策上の障害者として認定されてきたところである。しかし、そのような認定がない場合であっても、難病の特性によって体調が変動することにより、長期にわたり、職業生活に相当の制限を受け、または職業生活を営むことが著しく困難となる場合がある。したがって、障害者雇用率制度が適用されない場合でも、無理なく活躍できる仕事内容や職場環境、また本人スキルの向上等を含む、職業リハビリテーションによる難病患者の就業支援が重要となっている。第5項 難病

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