就業支援ハンドブック
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第4章 第1節244 第4章 就業支援に必要な知識2)病気や必要な配慮についての職場への開示の困難 企業は難病の治療の現状等の理解が不十分なことが多く、安全配慮上の「病者の就業禁止」規定等により、必要以上に難病患者の雇用に対して慎重になる傾向がある。それに対応して、外見からは病気や障害のことが分かりにくい難病患者は就職面接等であえて病気や必要な配慮についての説明を避ける傾向もある。しかし、病気を隠して就職できても、職場の理解や配慮のない状態での雇用は、難病患者にとってストレスとなりやすく、また、過労等により体調悪化が起こっても早めの通院ができないなど、治療と仕事の両立のための大きな問題となり、体調悪化から入院、退職となる例も多い。 したがって、外見からは分かりにくく、病気を隠せば就職はできるような一見職業上の問題が少ないと思われるような難病患者であっても、就職活動で病気の説明をすれば雇用されず、一方、病気を隠して就職すれば就業継続できず、というジレンマを抱えて長期の就業困難となり、体調悪化や生活困窮の悪循環に陥る危険性が高くなっている。3)難病患者に対する就業支援 難病の症状の程度は多様であり、障害者雇用率制度の適用となる場合だけでなく、特に、体調変動により健常者と障害者の支援制度の谷間で、治療と仕事の両立の課題を有しながら従来孤立無援となりやすかった、難病患者に対する専門的な就業支援が必要である。具体的には、無理なく能力を発揮できる仕事への丁寧なマッチングや、職場での理解や配慮の確保、疾患自己管理や職場での対処スキルについての就業支援が重要になる。 ① 無理なく能力を発揮できる仕事 難病患者にとって無理のない仕事とは、具体的には、デスクワーク等の身体的負荷が少なく休憩が比較的柔軟にとりやすい仕事、あるいは、パート等の短時間で通院や疲労回復がしやすい仕事など、一般的な仕事が多い。一方で、立ち作業、労務作業、流れ作業等、身体的負荷が大きい仕事や、もや病の場合は精神障害の認定になることも多い。

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