就業支援ハンドブック
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 ② 職場の理解と配慮の確保 「難病患者を働かせても安全配慮上の責任は大丈夫か」という企業側の懸念に対して、本人や担当医等に確認していくことが重要である。実際には、無理のない仕事へのマッチングさえできていれば、月1回程度の通院や体調に合わせた業務調整等の配慮があれば健康上も安全上も問題なく雇用が可能なことが多い。就職活動時に、企業の理解を進めるため、トライアル雇用等を活用して本採用前に確認できる機会を設けることも効果的である。身体障害等がある場合は、それぞれの設備改善等が必要である。障害者手帳のない場合についての企業側への助成措置としては、特定求職者雇用開発助成金(発達障害者・難治性疾患患者雇用開発コース)が適用される場合があり、ハローワークと相談することが必要である。 就職後には、本人や、必要に応じて担当医等ともよくコミュニケーションをとって、症状の特性を踏まえながらも、本人が能力を発揮できるような職場での業務調整等を行うことが重要である。一方的な配置転換や業務軽減はかえって、本人の満足度を著しく低下させ離職の原因となりやすい。 また、入院等により休職しても数か月で体調が回復し復職可能な場合が多い。治療の見通しを担当医から確認し、休職と復職の支援により性急な退職を防止することが重要である。要件を満たす場合は、障害者職場復帰支援助成金の活用が可能である。休憩や通院がしにくい時間拘束力の強い仕事等は続けにくいことが多い。 各人の症状等の特性を踏まえることはもちろん、その一方で、本人の職業能力や興味分野に適した仕事へのマッチングにより、障害者求人にこだわらず、一般求人にも範囲を広げ、難病患者であっても職業人としてアピールできる職業紹介につなげることが重要である。中途障害により、これまでの仕事を続けることが困難になった場合、パソコン等の職業訓練や資格取得によるデスクワーク等への職種転換も効果的な選択肢である。医療と労働の両面からの支援を促進するため、難病患者就職サポーターがハローワークに配置されているので活用されたい。 第1節 障害特性と職業的課題(難病) 245

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