就業支援ハンドブック
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18 第1章 就業支援のプロセスと手法 ② 検査(テスト) 検査では、各種のテストを用いて職業的自立を図るうえで活用できる特性、予測される課題等を明らかにする。利用する検査は、身体検査、知能検査、性格検査、社会生活能力検査、職業適性検査、ワークサンプル等である。<ポイント>〇 可能な限り関係機関で実施された結果を活用し、必要最小限の検査を実ワークサンプル ワークサンプルは、実際の作業または模擬的な作業標本(ワークサンプル)を使って観察・評価する方法である。ワークサンプルには、「具体的な評価ができる」、「作業態度、工夫、興味、習熟度等も併せて把握できる」、「職業の現実的な理解と働くことへの動機づけに結びつけることができる」という長所がある。ワー心に相談を行う。施することにより利用者の負担を軽減するように努める。〇 検査の多くは標準化されているため、諸特性を客観的に把握できるメリットがある。ただし、一つの検査だけでは一部の特性しか把握できないことから、他の方法と併せて実施することが効果的である。〇障害による残存機能だけでなく代替機能の実用性も併せて把握する。〇 職業との関係を常に念頭に置きながらアセスメントを行う。例えば、握力が30kgあったとしても清掃作業でバケツに水を入れて運べるとは限らない。単なる身体検査で終わってはならない。〇 1種類の検査の数字によって安易に判断することは避け、総合的な視点から特性を把握することが肝要である。このため支援者は、検査に精通することはいうまでもなく、障害、職業等の知識を深め、経験を積むことにより自身のアセスメント力を高めるように努める。〇 社会的側面や労働意欲は、利用者の日常をよく知っている家族、関係機関の支援者等の意見も参考にして把握する。また、例えば金銭計算、時間の読取り等アセスメント場面で実施できる事項は、実際に行ってもらうとよい。

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