就業支援ハンドブック
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254 第4章 就業支援に必要な知識 ■最低賃金法 最低賃金法は、労働者を使用する事業主(使用者)が労働者に支払う賃金の最低金額を定めているもので、使用者はこの最低賃金以上の賃金を労働者に支払わなければならない。 最低賃金は、原則として、すべての労働者に適用される。ただし、都道続勤務年数1年ごとに、前1年間の出勤率が8割以上の場合に、1労働日(3年6か月以後は2労働日)を加算した有給休暇を総日数が20日になるまで与えなければならない。 なお、働き方改革により、平成31年4月1日から、10日以上の年次有給休暇のある労働者に対し、毎年5日、時季を指定して有給休暇を与える必要がある。 また、労働契約法については、労働者の労働条件が個別に決定、変更される事案が増加し、それに併せて、個別労働関係紛争が増加していたことが成立の背景にある。以前は、個別労働関係紛争については、民法などにより部分的に規定されているのみで、体系的な成文法が存在していなかったことから、個別の労働関係の安定に資するため、労働契約の基本的な理念、労働契約に共通する原則、判例法理に沿った労働契約における権利義務規定を定めた労働契約法が平成20年3月から施行されるに至った。 なお、同法は平成24年8月10日に改正され、期間の定めのあるパート、アルバイト、派遣社員などの有期労働契約について、以下3つのルールが整備された。 1点目が、有期労働契約が反復更新されて通算5年を超えたときは、労働者の申込みにより、無期労働契約(期間の定めのない労働契約)に転換できること(平成25年4月1日施行)、2点目が、過去の最高裁判例で確立した、一定の場合には使用者による雇止めを無効とする「雇止め法理」が条文化されたこと(平成24年8月10日施行)、3点目が、同一の使用者と労働契約を締結している有期契約労働者と無期契約労働者との間で、期間の定めがあることにより不合理に労働条件を相違させることを禁止する規定が設けられたことである(平成25年4月1日施行)。

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