就業支援ハンドブック
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 1)職業準備性向上の必要性に対する理解 職業準備性向上のためには、本人の主体的な取組みが必要である。なぜ職業準備性を向上させる必要があるのか本人が理解しないまま、訓練に取り組んだとしても、成果はあまり望めない。重度の知的障害がある等のため、言葉による理解・確認が難しいケースもあるかもしれないが、原則的には、職業準備性の向上の必要性と向上させるための方法について、本人の納得を得ることは、職業準備性を向上させるための重要なポイントである。本人の納得については、アセスメント・プランニングを通じてアプローチしておくのが基本である。 2)職業情報の提供 職歴がない、仕事に対するイメージが湧かないという人に対しては、職業に関する知識(どんな仕事があるか、それらの仕事を行うときに何が要求されるか、実際にどのような求人がでているか等)や求職活動に関する知識(求人票の見方、履歴書の書き方、ハローワークの利用の仕方、面接の仕方等)に関する情報を提供する。情報提供に際しては、企業見学を含め、なるべく実際的な情報の提供に努めることが望まれる。 職業準備性を就職するためのハードルと考え、そのハードルを跳べないと就職への挑戦はできないと単純に判断するのは危険である。個々の職業準備性を検討する際には、支援や受入れ環境との相互関係の中で見ていく必要がある*。職業生活の継続のために、本人が努力すべきこと、企業が配慮すべきこと、支援者が支援すべきことを整理するための視点として、職業準備性を捉えることが大切である。 * 労働省および身体障害者雇用促進協会(昭和62年当時)による研究会報告書では、「職業準備」の概念を、「障害者の就労の促進、継続、さらには安定した職業生活の確保に必要な、または有益な一切の障害者自身および関係者の準備的行為・活動、措置ないし制度を含むものとして、広く捉える。」3)とまとめ、企業や労働組合、支援者や支援制度等、障害者を受け入れる社会の側の準備性にまで言及している。第2項 職業準備性を向上させるためのポイント 4) 第3節 職業準備性の向上のための支援 29

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