就業支援ハンドブック
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30 第1章 就業支援のプロセスと手法3)働く当事者のモデルの提示 支援対象者と同じような障害のある人たちが、どんな仕事をしているのか、どうやって就職し、どのようなことに気を付け、どんな思いで働いているのかといった情報は、働くためのイメージの明確化ばかりでなく、意欲の喚起や自信の回復等にもつながる。働く当事者の情報を提供する場合には、その当事者から直接話をしてもらうのが、最も効果的である。 4)企業からのメッセージの提示 同じことを言われても、誰から言われるかで受け止め方は大きく異なる。企業から(わが社で)働くために必要なこと等について直接話をしてもらうと、支援者が何度言っても伝わらないことが一遍に伝わることもある。また「やればできる」というメッセージを企業の側から伝えてもらうと、意欲の喚起や自信の回復等に大きな効果をもたらす。 5)企業での実習 企業で実習してみることは、職業準備性の向上を支援する最も効果的な手段である。 企業で実習してみる場合には、①複数の企業を見学したうえで、本人の希望や課題にあわせて働く場所を決める、②働く時間や働き方(単独での仕事、グループでの仕事等)もなるべく本人の希望や課題に合わせる、③職務内容だけでなく、職場内の人間関係を含めた職場環境を支援者がある程度知っておく、④必要に応じて支援者が介入できる、といった条件を満たしていることが望ましい。少なくともなぜこの職場で実習をするのか、実習の目的を本人と支援者とで共有することが必要である。本人が目的を理解しないまま実習をしても、あまり効果は期待できない。 また、実習をした後(もしくは、実習中)に、実習の振返りを行うことが大切である。実習の感想、できたことや困ったこと、実習目的の達成度等を企業側の評価も踏まえ、本人と話し合うとよい。企業側の評価は誰がするかで評価結果に大きな違いがでることもあるので、なるべく様々な立場の人の意見を確認しておくとよい。 職場が変われば本人の働く様子が変わることもある。ひとつの職場の実

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