就業支援ハンドブック
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習結果だけで本人の実態をすべて把握したと考えてはならない。実習結果は、あくまでも特定の職場における実施時点での結果であることに留意する。 6)振返りの重要性 職業準備性向上の取組みの副産物、と言うよりは、大切な機能のひとつとして、アセスメントおよび本人と支援者との関係作りが挙げられる。次の支援につなげるためには、職業準備性の向上を支援する取組みの中で、求職活動を行う際の目標(職種や労働条件等)や就職後の職場適応を図るための対処法を明確にするとともに、本人との関係を形成することが重要である。適切なアセスメントと関係作りを行うためには、随時、本人と支援者が振返りをする必要がある。振返りの時間は、職業準備性の向上を支援するプログラムに明確に位置付けておくことが望ましい。 7)施設内訓練における留意点 何年にもわたって施設内で訓練を行うと、施設に適応することが目的になってしまい、企業で働くことにつながりづらくなることがあるため、注意を要する。 企業で働くことを目的に施設内で訓練を行う場合には、アセスメントや本人との関係作りを主目的に短期間の訓練を設定し、その中で実際の職場を活用した訓練(実習)を適宜導入する方が望ましい。 また、職場実習等のプログラムを施設内訓練と連動させると効果的である。例えば、職場実習を行ったうえで、実習した企業に就職したと想定してSST(Social Skills Training)を実施すると、欠勤や遅刻の連絡、仕事で分からないことがあったときの質問、仕事でミスしたときの対応、昼休みに会話の中に参加するときの方法、更には、忙しそうにしている〇〇さんに質問をするときどうする、〇〇さんから病気のことについて尋ねられたときどうする等、実習先の雰囲気も踏まえ、より具体的な場面設定をしながらSSTを行うことができる。 8)様々な制度の有効活用と関係機関の連携 就職前の就業支援に絞っても、職業準備性を向上させるための制度や支 第3節 職業準備性の向上のための支援 31

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