就業支援ハンドブック
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  「第2項 職業準備性を向上させるためのポイント」において、「障害者の態様に応じた多様な委託訓練の実践能力習得訓練コース」の活用や「技能習得のための職業能力開発校の利用」について触れられている(32ページ)。障害者の就業支援を進める際に、就職への希望を実現する手段の一つとして「公共職業訓練」があるが、この「公共職業訓練」を企業や民間教育訓練機関等に委託して実施するというものが「障害者の態様に応じた多様な委託訓練」であり、国や自治体等が直接実施しているのが「職業能力開発校」である(制度の概要は258ページを参照)。 職業能力開発校の中でも障害者を対象として実施している施設が「障害者職業能力開発校」である(制度、機関の概要は258ページ、264ページを参照)。国立、県立それぞれの施設があり、訓練科目も個々の障害者職業能力開発校ごとに様々な内容のものが設けられている。 過去において、職業訓練は主として身体障害者を対象として実施されていたが、現在では、知的障害者を対象とした訓練科目・コースが全国各地で多数設置され、さらに、精神障害者、発達障害者、高次脳機能障害者を対象とした職業訓練も実施されており、これらの障害者を対象とした訓練科目・コースの設置が一部で開始されている。 特に、独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構が運営する中央障害者職業能力開発校(埼玉県所沢市)、吉備高原障害者職業能力開発校(岡山県加賀郡)では、重度視覚障害者、精神障害者、発達障害者、高次脳機能障害者等の職業訓練上特別な支援を要する障害者を中心に、全国の広範な地域から受講者として受け入れており、個々の障害特性・能力・適性等に応じた個別カリキュラムによる職業訓練と職業生活指導を一体的に行う総合的指導や、障害者雇入れ検討企業との連携・協力による訓練といった先導的な取組みを行うほか、それらの成果を他の障害者職業能力開発校等に普及している(資料参照)。 障害者の就業支援に当たって、現状の職業能力を活用して就業を求めることが希望の実現につながる場合もあれば、職業能力の向上を図った上でのチャレンジがより希望を叶える有効な手段となる場合もある。就業支援担当者としては、ご本人の希望を吟味し、このようなことも視野に入れつつ支援に当たることが望まれる。職業訓練の受講に関する相談については、最寄りのハローワークに問い合わせられたい。34 第1章 就業支援のプロセスと手法■コラム① ◇障害者職業能力開発校の活用について◇

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