就業支援ハンドブック
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42 第1章 就業支援のプロセスと手法1企業に対する支援の視点の必要性1)企業を取り巻く現状 最近では、企業の障害者雇用への取組みが活発化しており、就業支援機関に障害者雇用に関する相談が持ち込まれる機会も多くなってきている。その背景には、企業のCSR(企業の社会的責任)への取組みや都道府県労働局、ハローワークによる障害者雇用率未達成企業への行政指導の強化があると考えられる。 また、一部の地方自治体では、公共施設の清掃業務等の入札に価格等に加え就職困難者の雇用や環境問題への取組みも含める総合評価入札制度や、物品調達において障害者雇用を積極的に推進している企業を優遇するなど、企業の障害者雇用への取組みを評価する動きがある。 このように、企業活動における障害者雇用への取組状況が社会的評価や収益に直接影響する時代になっており、企業としても経営上無視できない事項となっている。2)企業に対する支援の必要性 企業が、障害者雇用に取り組む意思を有しているにもかかわらず、企業担当者が障害者雇用を進める際には、第3章第2節「企業の視点の理解」にあるような様々な課題が存在する。ゆえに、実際には障害者雇用が進まない現状がある。 このような現状において、障害者雇用を進めるためにいくら障害者の働く力を高めても、雇用やその後の職場定着に結びつけるのは難しい。職場対応は障害者という個人と、職場という環境のマッチングであるので、障害者に対してのみ向上や改善を求めていくだけでなく、職場にも改善を働きかけていく必要がある。 これまでは企業に障害者雇用について働きかける場合、行政機関が指導的立場で関わったり、就業支援機関が雇用をお願いする姿勢で関わったりしており、障害者を受け入れるための環境整備や実際の雇用管理は企業自らの努力に頼ることが多かった。しかし、障害者と同様、企業も支援(サー第2項 企業へのアプローチの方法

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