就業支援ハンドブック
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54 第1章 就業支援のプロセスと手法メントしたうえで希望を確認しながら支援を行うことが一般的である。 それに比べ企業に接する場合は、相手の事情はあまり考えず、雇用してもらおうとひたすらお願いしたり、こちらの意図が伝わらないと「障害者に理解がない」と一方的に決めつけたりしていないだろうか。 企業もサービス対象者(=お客様)ととらえると、「障害者雇用に消極的な理由は何か」「何が障害者雇用を妨げているのか」「障害者雇用への理解度はどの程度か」「どうすれば障害者雇用を前向きに考えてもらえるか」といった視点で考えることができ、企業側のニーズに応じた具体的方策を検討することができる。 2)相手の信頼を得ること 多くの企業は障害者雇用の必要性は理解できているものの、障害者雇用を進めるうえでのいくつかの課題に直面し悩んでおり、その回答を提供したり一緒に考えるパートナーを求めている。支援者が相手に「この人と一緒に取り組めば必ず課題解決できそうだ」と思ってもらい、信頼を得ることがまず第一に重要なことといえる。 相手の企業の信頼を得るためには、まず支援者が「相手を知る」ことである。障害者雇用に関する企業からの相談があると、急ぎ出向いて一生懸命当方の候補者を売りこもうとする人がいる。これは一番まずいやり方である。相手からすれば「わが社のことを何も知らない人が、わが社の障害者雇用について提案をされても、それが本当に良い方法なのか」と考えてしまう。相手の会社に合った障害者雇用プランを提示するためにも、まず行うべきは相手の会社の状況やニーズを正しく理解することである。 3)企業が障害者を雇用する理由や障害者雇用に関する考え方を把握する 障害者雇用の実績がある企業でも障害者雇用のきっかけや考えは様々である。各々の企業が障害者雇用に取り組む理由(動機)を把握することで、それぞれ対応方法や支援内容のポイントも異なってくる。<企業が障害者雇用に取り組む理由>①社会情勢の趨勢、広い意味での経営戦略などの観点から障害者雇用に取こと

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