就業支援ハンドブック
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56 第1章 就業支援のプロセスと手法(障害特性の説明例) Aさんは精神障害者で統合失調症という疾患に罹っています。統合失調症とは一般的には幻聴が聞こえたり、考えがうまくまとまらなかったりする症状が起こりますが、最近では定期的に専門医に通院し服薬することでほぼ症状は改善されます。Aさんも通院・服薬はきちんとできており病気自体は安定しています。 ただ病気の後遺症として、疲れやすく、長時間の作業になると集中力がとぎれることや、季節の変わり目に体調を崩しやすいところがあります。 現在は私ども施設に月曜日から金曜日まで毎日通い、午前9時から午後3時まで近隣の企業から受注したノベルティ商品の袋詰めに真面目に取り組んでいますので、やり方が決まった作業でパート就労など1日4時間程度であれば十分に勤務できると思います。 また、説明だけでは実際にどの程度働けるのか不安に感じられると思いますので、まずは職場実習を受けさせていただき、その働きぶりをみてから採用について検討いただくこともできます。前向きに採用をご検討願います。5)ビジネスマナーの習得 企業にとって、障害者雇用の取組みもビジネスのひとつである。ある意味では支援者は出入りの業者(ビジネスパートナー)の一人と言うことができる。したがって、言葉遣い、電話のかけ方、名刺交換の仕方、訪問時の服装、メール文書の書き方などに関する最低限のビジネスマナーは身に付けておきたい。 6)企業訪問時の準備 企業訪問する前には企業のホームページ等で企業概要(事業概要、組織、従業員数、各事業所<支社、営業所、工場など>の所在地など)を確認しておくことが望ましい。そうすることで、具体的に障害者の受入れ事業所や部署などを検討する際に話がスムーズに進みやすい。 また、障害者雇用も当然ながら業界の景気や雇用の動向、各企業の経営状態などに直接影響される。いくらよい人材であっても雇用枠がない、あるいは少ない場合は、いくら働きかけてもなかなか採用に結び付かないことも多い。また、人事担当者は障害者雇用だけを担当している訳ではなく、多くは従業員全体の採用活動を担当している。支援者が業界や企業状況を

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